小学生向けの新聞を声に出して読んでいた娘が、サッカーなどの「ワールドカップ」を意味する「W杯」という見出し(标题)を「わらはい」と読んだ。「え?」と思ったが、社交的なアプリなどで使う表記として「W」は「笑」だと小学生にも浸透しているのだと。「杯」には「はい」という読み方があるから、「素直に読みましたね」と褒めた。「杯」は『常用漠字表』で「はい」「さかずき」という読み方しかないので、小学生には「カップ」とするのは無理だろう。

(　ア　)、あるとき、娘は「中口貿易」という見出しを「ちゅうぐちぼうえき」って何?と聞いてきた。「中」が漢字だから「口」も漢字だと思ってしまう。「口」がロシアの略語としての表現は中学校で習うようだから小学生には難しい。見出しだから文字数に限りがあるので、しかたないが、「中国とロシアとの貿易関係」のように、できれば省略をしないほうがいいのだと思う。

テレビを見ていた娘が「ようい(容易)」ってどういう意味と聞いてきた。新聞なら文字でわかるが、放送では「ようい」という音声だけではわかりにくい「用意」が思い浮かぶ人もいるかもしれない。「簡単」と言い換えればわかりやすい。放送の言葉は小学生にわかるような表現がより多くの人に伝わるのだと改めて思った。

子どもたちが納得できるメディア、社会、未来でありますように。

私は以前、よくほかの作家と書き方を比べる作家でした。

「私はこの作家1.         表現がよくない」と落ち込んだり、「この作家よりはよく書けているな」と、2.         （よろこ）んだりします。ずっと他の作家と3.         （比べる）ていたため、気持ちもだんだん不安定になって、自分の作品に向き合う集中力が全然足りなくなりました。

ある日、ほかの作家をまったく4.         （見る）ないようにし、一切の比較をやめることを思い切ってきっぱり決めました。それからというもの、今まで他人を見ていた時間とエネルギーを、今度は自分自身5.         対して向けるようになりました。そうした時、私の独特な体験や感情、6.         （考える）方を作品に表現し、初めて「最も自分らしい作品」が書けるようになった経験があります。私はやっと自分を見つけることができました。

「ずっと外に7.         （追い求める）ていた宝物は、ずっと自分の中に存在している。それを見つけようともせず、比較の世界で8.         （探）していたからだ。」ということも十分わかりました。

比較をやめたこと9.         、落ち込むことも、焦ることもなくなりました。それに加えて、自分に目を向けるため、気分は安定になって、成長の伸びも10（.         速い）なります。

娘がまだ3歳の時、田舎の小さなホテルに泊まった。朝早く、1人先に目覚める娘に起こされた。「お父さん、早く起きて、ねえ、起きてよ。」まだまだ目が覚めない私は、①「もう少し」と言って布団を被る。窓のところへ走っていく娘の足音。しばらくして、

「お父さん、ねえ、②こっちへ来て。」

「ねえ、お父さんきれいだよ。夕焼けの朝だよ。」

この言葉で起き上がった私は、「えっ、何?」娘の所に行き、窓から外を見た。そこには、赤い赤い、空が広がっていた。美しい朝焼けの空だ。

「ねっ、きれいでしょ。お父さん。」

「うん、きれいだね。」

娘はまだ3歳、「朝焼け」という言葉は知らなかったが、③自分の知っている日本語で目の前に広がる美しい景色を上手に伝えることができた。

人は誰でも、④　　　。私はそう感じた。